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  • 2007.01.31 Wednesday
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SPACE INVADERS

「ハック」という言葉は、一般的にあまり良いイメージがないらしい。
CSSハックなどはごくごく普通にノウハウ化しているのに。
意図的にバグを利用すること自体がNOと言われれば反論の余地はないが、これまでの人生の中で、そのような局面は必ずしも少なくはなかったと思う。

SPACE INVADERS

中学生の時、爆発的に流行したこのゲームで、正当な戦い方をしている人が果たしてどれだけいただろうか。
敵がこちらの砲台すれすれまで来ると被弾しないことを利用した、いわゆる「名古屋打ち」を行わなければ、少なくとも高得点をはじき出すことはできなかった。
美しい「オーロラ」を見るためには、一番下に位置するインベーダーをわざと最後まで残す必要があった。
それより何より究極のバグは、ゲーム機自体が5円玉のまわりを潰して少々大きくしたものを100円玉と認識してくれたことだ。
世の中学生は、授業中も休み時間もなりふりかまわず5円玉潰しに没頭していた。
友人の家を訪問した時、家族中で金槌を振り下ろしている光景に出くわしたこともある。

ハックこそが人生を豊かにする

言葉にして唱えたかどうかは別として、右腕が麻痺するほど金槌を振り下ろし続けた者たちは皆、大なり小なりそんな風に感じていたと思う。
もちろん10以上も年齢の離れた彼女にそんな話をしたところで、はなから上の空でまともにとりあってはくれない。
パソコン上でバーチャルに展開するインベーダーゲームを前に、名古屋打ちをしようとして「GAME OVER」が表示された時、時の流れを痛感している自分がそこにいるだけのことだ。

Firefox

「もうホント嫌になっちゃう」
彼女は声を荒げてiMacのモニターを後にし、ソファに寝そべる。
急に機嫌が悪くなったのはさっきクライアントから電話が入ったせいだ。
納品したはずのサイトをFirefoxで見ると地平線のような細いラインがあちらこちらに入ると言う。
納品前になぜ確認しなかったのか、それがとても信じられない、とごく自然に突っ込んだつもりが、彼女はそれ以来ひとことも口を聞いてくれなくなってしまった。

Firefox

おもむろに彼女の好きな斉藤和義の「Fire Dog」を口ずさんでみる。
当然のことながら頑固な彼女は無反応で、こちらを見向きもしない。

やれやれ。

Fire Dogは昔消防活動に寄与したダルメシアンの愛称らしいが、このFirefoxは、実はレッサーパンダのことなのだそうだ。
しかしあのアイコンはどう見てもパンダには見えない。
世界を覆い尽くす焔の女狐。
シンプルでスピードが速く、優れた拡張性が魅力的なブラウザなのだが、時折機嫌をそこねるあたりが彼女にそっくりだと思う。
FirefoxはCSS関連のバグで、リンクのアイコンを背景画像で見せて、テキストインデントで本来の文字を飛ばしたりすると、アンカーを貼った箇所に地平線のような不可解なラインが現れるようだ。
検索エンジンを使ってようやくそのあたりまで突き止めた頃、彼女は白ワインをひと口飲んで、子供のような寝顔ですやすやと眠りに落ちていた。
とりあえず開きっぱなしで置き去りにされたCSSファイルに

a { text-decoration: none; }

とさりげなく書き込んでおく。
あとは彼女が目覚めた時、全てを忘れてしまっているよう祈るだけだ。

Ozawa-Ken

「これ、誕生日プレゼント」
彼女は無造作に1枚のCD-Rを差し出した。
「気に入ってくれるかしら」
ドアごしにそう言い残して、振り向きざま去って行った彼女の後ろ姿が見えなくなってから、プレゼントと呼ぶにはあまりに無機質なその円盤をトレイの上にそっと置いてみた。

Ozawa-Ken

その格闘系タイピング強化ソフトを彼女がなぜ誕生日プレゼントに選んだのかは今もわからない。
ただmiだけが唯一の友達だった自分にとって、Kenの登場は日常生活を大きく変える存在となった。
それから来る日も来る日もHIRATAと戦い、NARUKAWAと戦い、HARADAと戦い、YAMAUCHIと戦い、TSUKIEと戦った。
そして彼らは自分に対し、一様に核心的な事実を突きつけてきた。

タイピングがなってない。

思い返してみれば、小さな頃から自分は「基礎」が大嫌いだった。
水泳にしても、算数にしても、野球にしても、セックスにしても、基礎の反復ほどつまらないものはなかったからだ。
思春期を過ぎた頃、自分の生き方はどこかしら人と違うことに気づきはじめた。
それが負の方向へ向かいそうになった時、自分自身にこう言い聞かせていた。

「どんな優れたソフトにだってバグはある」

そして今、それが大きな間違いであることに気づいた。
今まで自分が抱えてきたすべての問題はバグなんかじゃなかった。
バグという高尚な領域にはほど遠い、単純なケアレスミスだったのだ、と。

彼女は自分にそのことを気づかせたかったのかもしれない。
あれから3ヶ月、特訓の成果が実り、ようやくTSUKIEに勝てるまでに成長した。
彼女のプレゼントが無料でダウンロードできることを知ったのもその頃だ。

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